上海で5年間体験した中国のキャッシュレス生活 (ShanonAdventCalendar2017・14日目)

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こんにちは、エンジニアの輝です。

最近、中国のキャッシュレスが日本ですごく話題になっているそうなので、今回私は上海で5年間体験したキャッシュレス生活を軽く紹介させていただきたいです。

日本のテレビやネットの紹介よりは、実際に普段の生活で使ってみてキャッシュレスはどんなことかもっと実感できます。今私は日本に戻って、キャッシュレス遅れの日本の生活にちょっと不便を感じてしまうこともあります(休日銀行や休み、しかもATMでの引き出しは有料!びっくりするほど)。

中国でキャッシュレスといえば、基本的にはアリペイのことを避けては通れないこと。

じゃ、まずアリペイを中心で話をしましょう。
  • 2011年、最初のアリペイとの出会い
私は2011年に日本から上海に戻って、初めて支付宝(アリペイ)のアカウントを作った。そのときのきっかけは、携帯の通話料金のチャージだ。

(※実際に、アリペイはアリババグループの個会社のアント・フィナンシャルが行っている非接触型決済サービスである。設立日は2004年12月8日だ)

中国では、電話料金は直接に口座やクレジットカードから落とすのは基本的になく、残高が少なくなった時に、普通店頭で一時的に支払い用のカード(電話カード)を現金で購入して、そのカードのシリアル番号と暗証番号を携帯で入力してチャージします。ただ、電話カードを購入するのはちょっと不便がある。電話カードを販売する店頭を探して、カードの購入時に順番を待つ、購入後に長いシリアル番号と暗証番号の入力などはすごく時間がかかる。その時に、会社ですぐ隣に座っている同士のZさんに電話カードを売る場所をたずねたところ、びっくりした顔をして、まだ知らないの?電話カードの販売店があるが、皆もう買わないですよ!支付宝(アリペイ)を使ってチャージすれば割引も付いてくれるよ!と答えた。

早速アリペイのアカウントを作ってチャージしてみました。確かに、50(833円ぐらい)元をチャージして、49.9元を支払って済んで、割引は0.2%だった。操作時間は初回のみの電話番号入力手間を含めて僅か1分未満!普通に電話カードを買うなら1時間もかかるかもしなれないのに。出かける時間も省けて、割引も付いているので、初回のアリペイの体験は大満足!(時期によって割引の金額が変わる)

図1:電話料金をチャージする時に割引がある。

この時期は、アリペイはPCで使うものだった。

※2011年前まで、アリペイは基本的にTaobaoの支払い手段だけ
最初、アリペイはTaobaoというアリババ通販のために作った電子マネーで、それ以外の機能はほんとんでなかった。2011年まではアリペイは基本的にTaobaoの支払い手段だけと認識してもいい。その後どんどん進化して来た。しかし、Taobaoの初期は私は日本にいたので、アリペイをあまり使わなかった。

  • 2011年11月11日(独身の日)、アリペイの一日の取引金額は560億円
アリペイの便利さを知ってから、Taobaoでよく買い物をしてきた。中国は広すぎて、買いたいことを全部店頭で買うなら、北京・上海のような大都市ではないと、購入できるものはすごく限られている。Taobaoでの買い物は、服、食べ物、日用品、スマートフォン、家電、家具など。特に地方だけで売れている商品は以前そのところに行かないと入手できないもの全部Taobaoだ!知らないものがあるが、Taobaoで買えないものがないという常識になったほど。例えば、広西省(ベトナムと隣接)の金柑、吉林省(北朝鮮と隣接)のお米、ウィグル自制区(アフガニスタンと隣接)のメロンなど、これらの食べ物を安くて新鮮で買うのはTaobaoが一番だ。(農家からの直送なので、安くて新鮮)

特に、毎年の11月11日は独身の日であり、割引が50%のキャンペーンが多く、皆まとめて買うことが多かった。私は2011年11月11日にTaobaoで10万円以上のものを買った。翌日出社して、多くの同士が休みを取った。また翌日に聞いたところ、徹夜で買い物をしたという。正に買い物のカーニバルだった。Taobaoでの買い物はほとんどはアリペイで入金することなんだ。


図2:広西省の名産:金柑(300円未満/500g)


  • 2012年、公共料金の支払いサービスの開始
上海では、水道料や電気代、ガス代などは、直接に口座やクレジットカードから落とすのは基本的になく、普通店頭で支払うことだった。知らないうちに、アリペイはTaobaoと全く関係ない公共料金の支払いサービスを提供しはじめた。それは必要な情報を入力したら、毎月アリペイのアカウントから自動的に落とすことだ。もちろん、一時的にアリペイで支払うことも可能だ。これはすごく便利なことだ。

図3:水道料、電気代、ガス代の支払いサービス
  • 2012年、PC時代からモバイル時代へ
2011年までは、アリペイのPC時代だったが、2012年以降はモバイル時代になった。2012年以降、Taobaoで買い物をするときによく気づいたのは、PCでアリペイで支払う時に、モバイルのアリペイで支払うことをよく薦められたことだ。モバイルで支払えば、PCで支払う場合のない割引が付いてくれること。

その時は、私はPCのウィルスを恐れて、モバイルで暗証番号の入力がより安全だと思うのでモバイルでしばしば支払うことになったが、今はその時のことを思い出して、それはアリペイの将来を見としたすごい戦略だった。

図4:スマートフォンで支払えば、割引がPCより多い(左はPC、右はスマートフォン)

それ以降、中国国産のスマートフォンが安くて入手でき、スマートフォンの利用者(特に若者)は年間0.5億人増えたという。スマートフォンを電話として利用するのはごく小さい機能の一部で、大部はインターネットにつながりSNSや通販サービスの利用だ。そのトレードに乗って、アリペイの使用は基本的にPCで使うものから一気に半分以上をモバイルで使うようになった。今は70%以上はモバイルで使うそうだ。

モバイルで使うというのは、中国でモバイル(スマートフォンやタブレート)の利用者はPCの利用者より数が多いからだ。あと、モバイルで使うのは、PCに向けて使うよりは、利用者が増えるだけではなく、人が利用する機会が多くなることだ。例えば電車で通勤する時とか、ベッドに横になった時とかでも気軽に使えること。それによって売り上げも上がることに繋がることだ。

この時期から、キャッシュレスというよりは、スマホ決済と呼んだだほうがぴったりだろう。


図5:現在のアリペイのサービス一部のiphoneアプリ・キャプチャ(日本のスマートフォン😂)

  • 2012年のいつか、各種店舗でのアリペイ支払いサポート
アリペイでい払えば割引が付いてくれることだ。顧客だけではなく、店舗の経営者にもキャッシュバックしてくれる!外食を食べる時にアリペイを使わないと損になる。

図6:飲食店のドアに飾っているたくさんのバーコードに、アリペイがある(右上)


図7:ハンバーガーをアリペイで買うなら10%割引



図8:スーパーでのアリペイ決済

2012年12月までは、アリペイのアカウント数は8億以上だそう。

  • 2013年、投資サービスの開始
2013年に、アリペイは余額宝という投資サビースを提供し始めた。

それまでは、アリペイを使う時に事前に口座からアリペイのアカウントにお金を振り込む必要があり、今後使うために残高はそのままアリペイのアカウントに残ります。余額宝というサービスはこれらのアリペイの残高を管理してくれて、金利も付いてくれる普通預金サービスです。最初は金利はすごく高くて、年7%だった。最初は皆半信半疑で小さい金額を入れて使ってみました。安全であることを確認した後、銀行より遥かに高い金利なので私もどんどん大きな金額を入れました。今金利がかなり低くなったが、まだ年4%ぐらいだ。日本人にとってこの金利はどういう数字だろうか?

その後は、余額宝という普通預金以外に、様々な投資サービスも提供した。リスクが高く、金利はもっと高い株売買みたいなサービスが色々。あとは色んな小金額のC2B金融サービスもあった。

その後は、アリペイの利用者数が増えることによって、銀行に預金する人がどんどん減っていくので、中国の4つの国営銀行がプレシャーが感じ、政府によってアリペイに規制を加えることまでほど影響力を持った。

図8: 余額宝のスマートフォン画面(金利:年4.07%)

  • 2014年、ゴマ信用サービスの開始
2014年のいつから忘れましたが、アリペイのモバイルアプリには、ゴマ信用のポイントが付いてくれました。こいつを初めて使うのはホテルを利用の時だった。

中国ではホテルに泊まる時には基本的に保証金が必要なもので、Checkout時にも店員の部屋チェックも必要だ。アリババの宿泊予約アプリでホテルを予約する時に、ゴマ信用のポイントがある数字以上であれば、保証金と部屋チェックを待つ時間も省けることだ。それ以外、ゴマ信用のポイントは一部の国でビザ取る時に中国政府のオフィシャル証明根拠として参考されるそうです。それ以外も色んな場面で使われるそうです。

図9:ゴマ信用のポイント点数

  • 2015年、Didi サービスサポート
2015年一年で、Didi(中国名:滴滴出行、Uberの中国事業を買収したライドシェア会社)の乗車回数は14億回を達成。WeChatの決済もサポートが、半分以上はアリペイで決済すること。その一年での補助金は2000億円ぐらいと言われている。Didiの投資会社の1つはアリババであり、もう1つはテンセントである。

図10:Didi のサービス画面
  • 2016年、バイクシェアリング 
 2016年暴発的に発展してきた中国のバイクシェアリング事業、それが拡大した理由の一つに、自転車の検索、解錠、決済まで全てスマホで完結する利便性の高さが挙げられる。決済の手段はアリペイとWeChatペイだ。
最近では日本のITベンチャー企業の参入が相次いでいるが、中国に比べてスマホ決済が普及していない日本国内では、決済の仕組みをいかに便利かつわかりやすく設計できるかが鍵となるだろう。


図11:ofo(小黄車)
  • これから〜
これからの時代はAI、ビッグデータの時代と言われてる。アリペイは、この10年以上で溜まった数億のアカウントと各アカウントの消費履歴のビッグデータは宝蔵と言っても過言ではない。

上記のゴマ信用はその中の1つで、これからもっとすごいサービスが提供されることを期待できるだろう。


まとめると、アリペイの進化パスは下記になる:

①単純な通販の電子マネー ⇒ ②公共サービス ⇒(モバイルへ転身) ③集客機能
 ⇒ ④金融・投資サービス ⇒ ⑤交通サービス統合 ⇒ ⑥決済機能中心のプラットホーム
 ⇒ 何だろう(脱スマホ?顔ペイ、指紋ペイとか)
  • その他の電子マネー
キャッシュレスというのは、アリペイ以外にWeChatもあります。この2種以外は基本的にはない。

WeChatは、もともとインスタントメッセンジャーアプリだが、中国市場のシェア率はほぼ100%なので、その優位性を活かせるために電子マネーのサービスも提供して始めた。中国の電子マネーサービスとしては、アリペイの唯一のライバルだ。

WeChatペイの電子マネーサービスの提供はアリペイよりかなり遅れたが、2014年の旧正月に紅包(お年玉)の配りで一気に広がった。その後、WeChatのユーザの間にお互いにの送金やお年玉の配りから、決済や金融投資までサービスがどんどん豊富になった。


図12: WeChatペイ VS アリペイ


  • 普通中国人のキャッシュレス生活
1.ネット通販の支払い:Taobaoや他のネット通販

2.公共料金の支払い:水道料金、電気料金、ガス料金など

3.店頭での買い物:スーパーで野菜や果物の購入から、外食の支払いまで

4.トラベルや交通費の支払い:宿泊費支払い、タクシー料金、バス・電車・飛行機料金

5.医療費の支払い:病院で医療費の支払い

6.C2Cの振込:個人間のお金のやり取り、割り勘、海外送金

7.金融投資:定期預金、普通預金、株売買、ネット金融などなど

・・・などなど

  • 最後に感想
いっぱい書きましたが、まとめると、下記の感想があります:

1.一言で言えば、スマートフォンがあれば、現金で支払うよりはスマホ決済のほうが多いことだ。スマホ決済は誰も使えるし、クレジットカードよりハードルが低く、、決済後はすぐに残高が確認できるところがすごい便利。

2.キャッシュレスは目的ではなく、ただ1つの現象だ。目的は繋がり(人と人、サービスとサービス、人とサービス)、消費データのデジタル化・可視化だ。

3.お金と関係するため、投資や金融ツールの周辺サービスにも繋がる。

4.これからのAI、ビッグデータ時代に、数億のアカウントとそれより数百倍の消費データをどういう風に活かして、どういうサービスを提供してくれるだろう、お楽しみに・・・

5.日本もキャッシュレスの社会になってほしい、便利だから。少なくとも、休日のATMでの引き出し手数料を節約できるんだ!^_^

6.アリペイやWeChatの資金はでかすぎる。アリペイやWeChatペイで支払ったお金は基本的にアリペイやWeChatペイの内部循環なので、外部には流さない。大量の資金はずっと溜まっていて、数十兆円以上にも及んだかもしないと言われているが、管理は大丈夫?


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