JaSST´2014 に行ってきました!

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 こんにちは、QA所属おかもとです。
今回は2014年東洋大学で開催されたソフトウェアシンポジウムに関しての投稿です。
東洋大学さん、とっても広くて迷いました・・





私が参加したのは基調講演を初めとした1日目のセッションだったのですが
その中で印象に残った点などをまとめてみました。





基調講演

Stuart Reid氏によるテストエンジニアのモチベーションについての講演でした。
600人以上の多国籍なテストエンジニアから収集したデータにて
テストエンジニアのモチベーションを左右する要因を分析していました。
方法論は、daniel pinkのモチベーション3.0等を使用しており(他にも何個かありました)、
結果的には同じテスターでもその役割によって、モチベーションを挙げる要因や作業の特徴はそれぞれ異なるということを言っていました。
それぞれの役割とはテストに関わるコンサルタント的職種なのか、テストマネージャなのか、テスターなのか・・などの6つの役割に分類された職種です。

個人的に面白かったのは、
これらの分析の結果モチベーションを上げるのは必ずしも報酬では無いという点。
報酬を上げることでモチベーションが上がると答えたのは全体の5%だったそうです。
これは経営者やマネージャーにとってはお金をかけずにテストエンジニアのモチベーションを上げられるという朗報かもしれません・・。笑
後個人的に思うのは、この業界の方は仕事が趣味・・プログラム大好き。。みたいな人も多い気がするのですが、そういう人から言わせると

お金じゃないんだよ・・やりたいのは好きなプログラム(研究)なんだよ。


って事かもしれません。

また、テストの結果は国籍・人種によっても部分的に差異があったとも述べられていました。
特に面白かったのは、アジア系の人種の傾向としては

主導的にプロジェクトを動かすのはあまり好まない(むしろモチベーションを下げる)、だけどアサインされると最後までやりきる(達成する)ことに大きな意義やモチベーションを持つという点。
だから途中で取り上げてはいけない・・という事らしいです。

なんとなくアジア系人種としては納得できる結果です。
これらを用いれば、個々のテストエンジニアが何にモチベーションを持って仕事をしているのかという分析が可視化できるという点で、管理職に携わる人は導入してみるというのも面白いかもしれないと思いました。


次に聴講したのは、良いテストのために~テストの質向上を目指す取組み~ というセッションでした。
一つ目のセッションでは、テストの漏れによる欠陥や見逃しを回避する手段として正しいテスト技法を身に付けているかをテスト技術者に試験する・・という内容のものでした。
試験内容はテストで使用するテスト手法を出題して、実際のテストケースを組み立てそれを答えるというような感じのものでしたが、このテスト結果は発表者の意図に反して経験年数が長いからといって必ずしも点数が高くなるという結果では無かったとの事でした。
私がここで興味があったのは、では点数が高かった人(沢山のテスト手法を知っていて、それを駆使できる)のバグや欠陥の発見率はテストの点数と相関関係にあるのか・・という点でしたが、これについてはまだデータは取れていないとのことでした。
個人的にはテスト手法を知っていて、それをそれぞれのテストで適宜使用できるという事は大切な事ですが、
知っているという事と必要に応じて使用できるかはまた別の話なのかなとも思いました。
多分自分の持っている技術では実現できないこと、確認できないことが起こると誰でもそれを実現するために色々試したり、調べたりすると思うので、そこでそれに対するテストが実現出来る・テスト技法が使用できる様になる事が大事なのかなと思いました。

二つ目のセッションは、バグレポートをワーストプラクティスから学ぶというセッションでしたが、
これは単純にあるある・・と思う話が多くて面白かったです。
例えば、問題となるパターンに「バグ ピンポン」と命名していたのですが、
これは想像の通り、QAと開発者の間でバグの応酬が繰り返されるというやりとりの事を指すらしいです。
この応酬の間には、再現手順が不明確とか、QAと開発者の距離が物理的にも心的にも遠い、QAはバグだと思っているが開発者はバグだと思っていなくて炎上する・・等々が挙げられており、一般的にQAや開発者間では同じ問題があるのだと改めて考えさせられました。余談ですが、弊社でも同じ様な応酬はあったという歴史の元に以下の情報を中心にBugレポートに共有することになっています。

□環境
□再現パス
□発生時間
□再現手順
□不具合内容
□期待値(期待結果)
□ログ




と言った感じで、新規のバグ登録用にBugzilla上に雛形テンプレートが作成されており、これをコピーして使う事が出来るようになっています。
上記の情報の共有があれば、バグ ピンポンの様な行き違いはだいぶ回避される様な気がします。
特に不具合内容は、細かな手順を書いて何をしたら何が起きたという事を書き、再現した環境を見てもらった方が早い場合はその環境を保持して確認を待つ場合もあります。
これが正しいという正解は特に無く、状況に応じて必要な情報を提供するというのが大切だとは思いますが、
自分もあせっている・・特に大バグを発見した時は冷静ではいられないので、一つそこに立ち返ってこの情報を共有しなくてはならない・・と思えるわけです。
そんなわけで、今年のJasstの共有を終わりたいと思います。


<参考>

Jasst2014

「Tester Motivation テストエンジニアのモチベーション」
Stuart Reid (英国コンピュータ協会)

「テスト設計スキル評価方法の提案と実践事例」
町田 欣史氏


「バグレポートの問題事例の調査と改善のためのアンチパターン集の作成」
 鈴木 昭吾氏

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